鮮やかな赤い苞(ほう)が魅力的なアンスリウム。しかし、大切に育てているはずなのに、期待通りに赤くならないと悩んでいませんか。
購入した時は真っ赤だったのにアンスリウムが赤から緑になったり、そもそもアンスリウムの花の色が変わることに戸惑ったりする方は少なくありません。中には、アンスリウムの花の色が薄い、全体的に色が悪いと感じることもあるでしょう。
また、赤色だけでなく、白い品種でアンスリウムが白くならない、ピンクの品種でアンスリウムがリリーピンクにならないといったご相談もよく耳にします。アンスリウムに色が つかないだけでなく、アンスリウムの花が咲かない、葉や花がアンスリウム茶色くなるといった症状は、育て方に何か問題があるサインかもしれません。
アンスリウムの花の終わりが近づくと自然に色が変わることもありますが、もしかしたら元々アンスリウム緑品種やアンスリウム白緑の品種である可能性も考えられます。ちなみに、緑のアンスリウムの花言葉は「無垢な心」です。
この記事では、アンスリウムが赤くならない原因を詳しく解説し、再び美しい花を咲かせるための具体的な対策を分かりやすくご紹介します。
この記事を読むと分かること
- アンスリウムが赤くならない、または色が変わる主な原因
- 美しい花色を引き出すための正しい育て方の基本
- 日々の手入れで気をつけるべき剪定や肥料のポイント
- アンスリウムを元気に保つための季節ごとの管理方法
アンスリウムが赤くならない原因は色の変化かも
- アンスリウムの花の色が変わるのはなぜ?
- 花の終わり?アンスリウムが赤から緑になる理由
- アンスリウムの色が悪い・花の色が薄い原因
- アンスリウムが茶色くなるのは水不足の症状?
- 白くならない・リリーピンクにならない時の注意点

アンスリウムの花の色が変わるのはなぜ?
アンスリウムの花の色が変わる現象は、実は多くの場合、植物の自然な成長過程の一部です。特に、鮮やかな色だった花が徐々に緑色を帯びてくるのは、珍しいことではありません。
一般的に「花」と呼ばれている部分は、仏炎苞(ぶつえんほう)という葉が変化したものです。この苞は、開花から時間が経過するにつれて、少しずつ老化していきます。老化が進むと、苞に含まれる色素が分解され、代わりに葉緑素が目立つようになるため、色が抜けて緑っぽく見えるようになります。
そのため、購入後に色が変化したとしても、すぐに株が弱っていると判断する必要はありません。むしろ、アンスリウムが順調に生育している証拠とも考えられます。ただし、急激な変色や、緑色以外の色(茶色や黒)への変化は、別の原因が考えられるため注意が必要です。

花の終わり?アンスリウムが赤から緑になる理由
前述の通り、アンスリウムが赤から緑に変わる最も一般的な理由は、花の終わり、つまり仏炎苞の老化です。
アンスリウムの苞は、開花してから数ヶ月間、その美しい色を保ちます。しかし、一定期間が過ぎると、植物は新しい花を咲かせるためにエネルギーを使おうとします。その過程で、古い苞は役割を終え、光合成を行うために葉緑素を増やし、だんだんと葉のような緑色に変化していくのです。
この色の変化は、株の生理現象としてはごく自然なものです。緑色に変わった花をそのままにしておいても問題はありませんが、見た目が気になる場合や、株の体力を温存して次の花を促したい場合は、切り取ることをおすすめします。切り取る際は、花を付けている茎(花茎)の根元から清潔なハサミでカットすると良いでしょう。

アンスリウムの色が悪い・花の色が薄い原因
アンスリウムの花の色が悪い、または本来の色よりも薄いと感じる場合、主な原因として日照条件が考えられます。アンスリウムは、美しい苞を発色させるために適度な光を必要とします。
日照不足
アンスリウムの置き場所が暗すぎると、光合成が十分に行えず、花の色素を生成するためのエネルギーが不足してしまいます。その結果、花の色が薄くなったり、鮮やかさが失われたりすることがあります。特に室内で育てている場合は、窓から離れた場所に置くと日照不足になりがちです。
日照過多(葉焼け)
逆に、光が強すぎるのも問題です。アンスリウムは熱帯雨林の木陰に自生する植物のため、強い直射日光には弱く、葉や苞が焼けてしまう「葉焼け」を起こしやすいです。葉焼けを起こすと、その部分が茶色や黄色に変色し、組織が壊死してしまうため元には戻りません。
したがって、アンスリウムを育てる上では、レースのカーテン越しのような、明るい日陰に置くのが最も理想的な環境と言えます。

アンスリウムが茶色くなるのは水不足の症状?
アンスリウムの葉や花が茶色く変色したり、枯れたりする場合、水不足を疑う方は多いかもしれません。もちろん水不足も原因の一つですが、実は他の要因も考えられます。
原因 | 症状の特徴 | 対処法 |
水不足 | 葉や苞の先端から乾燥し、パリパリになって茶色く変色する。株全体がしんなりする。 | 土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れるまでたっぷりと与える。受け皿の水は捨てる。 |
根腐れ | 水は与えているのに、株に元気がなく葉が黄色や茶色に変色する。土が常に湿っている。 | 水やりを控え、土を乾燥させる。症状が改善しない場合は、腐った根を取り除き新しい土で植え替える。 |
葉焼け | 直射日光が当たった部分が、白っぽくなったり茶色く焼けたりする。 | レースのカーテン越しなど、半日陰の場所に移動させる。 |
肥料焼け | 規定量以上の肥料を与えた後、葉の縁が茶色く枯れこんでくる。 | しばらく肥料を控え、土中の肥料濃度が下がるのを待つ。 |
このように、茶色くなる原因は一つではありません。土の湿り具合、置き場所、肥料の与え方などを総合的に確認し、適切な対処をすることが大切です。

白くならない・リリーピンクにならない時の注意点
赤い品種だけでなく、白いアンスリウムが白くならない、あるいは「リリーピンク」のような特定のピンク色にならないという悩みも、基本的な原因は赤くならないケースと共通しています。
品種本来の美しい色を引き出すには、生育環境が大きく影響します。特に、以下の3つの要素が鍵となります。
- 光の量前述の通り、光が不足すると色素が十分に作られず、色がぼやけてしまいます。白い品種の場合はクリーム色がかったり、緑色が混じったりすることがあります。
- 肥料のバランス植物の成長には窒素・リン酸・カリウムの三要素が不可欠ですが、特に花色に影響を与えるのがリン酸です。リン酸が不足すると、花付きが悪くなるだけでなく、発色も鈍くなります。逆に窒素が多すぎると、葉ばかりが茂って花が咲きにくくなるため注意が必要です。
- 温度管理アンスリウムは寒さに弱い植物です。低温が続くと生育が鈍り、花色にも影響が出ます。特に冬場は、室内の暖かい場所で管理することが求められます。
これらの生育条件を整えることで、品種が持つ本来の美しい白やピンク色を発揮しやすくなります。
アンスリウムが赤くならない時の正しい育て方
- アンスリウムに色がつかない・花が咲かない対策
- アンスリウムに与える肥料と霧吹きの効果
- アンスリウムはどこで切る?冬は枯れやすい?
- 緑の品種もある?アンスリウム白緑の花言葉

アンスリウムに色がつかない・花が咲かない対策
アンスリウムに美しい色の花が咲かない場合、まずは育てている環境全体を見直すことが解決への近道です。株が健康でなければ、花を咲かせるためのエネルギーを生み出せません。
置き場所の再確認
最も重要なのは置き場所です。一年を通して、直射日光の当たらない明るい日陰で管理するのが基本となります。もし、室内が暗い場合は、植物育成用のライトを活用するのも一つの方法です。また、エアコンの風が直接当たる場所は、乾燥しすぎるため避けるようにしてください。
根詰まりのチェックと植え替え
購入してから2年以上植え替えをしていない場合、鉢の中で根が詰まっている「根詰まり」を起こしている可能性があります。根詰まりすると、水分や養分をうまく吸収できなくなり、生育不良に陥ります。鉢底から根が見えていたり、水の染み込みが悪くなったりしたら、一回り大きな鉢に植え替えるタイミングです。植え替えの適期は、生育期である5月~9月頃です。
これらの対策を行っても改善しない場合は、肥料の与え方や水やりの頻度など、日々の管理方法を見直してみましょう。

アンスリウムに与える肥料と霧吹きの効果
アンスリウムの美しい花を維持し、次々と咲かせるためには、適切な栄養管理と湿度管理が欠かせません。
肥料の与え方
アンスリウムの生育が活発になる春から秋(5月~10月頃)にかけて、定期的に肥料を与えます。肥料には様々な種類がありますが、花付きを良くするためには、リン酸成分が多く含まれたものを選ぶのがポイントです。
- 液体肥料: 速効性があり、水やり代わりに10日に1回程度の頻度で与えます。製品に記載された希釈倍率を必ず守りましょう。
- 緩効性化成肥料: 効果がゆっくりと持続します。2ヶ月に1回程度、株元に置くようにします。
冬はアンスリウムの生育が緩やかになるため、肥料は与えないでください。肥料の与えすぎは「肥料焼け」を引き起こし、根を傷める原因になるため注意が必要です。
霧吹きの効果
アンスリウムは高温多湿の環境を好む植物です。そのため、定期的に葉に霧吹きで水をかける「葉水(はみず)」を行うと、生き生きと育ちます。葉水には、以下のようなメリットがあります。
- 空中湿度を高める: 乾燥を防ぎ、葉のツヤを良くします。
- 害虫予防: ハダニなどの乾燥を好む害虫の発生を抑制します。
- ホコリの除去: 葉の表面を清潔に保ち、光合成を助けます。
特に、空気が乾燥しやすい夏場の冷房時や冬場の暖房時には、毎日行うと効果的です。
アンスリウムはどこで切る?冬は枯れやすい?
アンスリウムを長く楽しむためには、適切な剪定(せんてい)と、季節に合わせた管理、特に冬越しの方法を知っておくことが大切です。
アンスリウムの剪定
アンスリウムの剪定は、主に古くなった花や葉を取り除く「花がら摘み」や「古葉取り」が中心です。
- 終わった花: 色が褪せたり、緑色に変わったりした花は、花を付けている茎(花茎)の根元からカットします。これにより、株のエネルギー消耗を防ぎ、次の花が咲きやすくなります。
- 黄色くなった葉: 黄色く変色した古い葉も、同様に葉の付け根から切り取ります。
剪定に使うハサミは、病気の感染を防ぐために、火であぶったりアルコールで拭いたりして消毒してから使用してください。
冬の管理方法
アンスリウムは寒さに弱く、10℃以下の環境が続くと枯れてしまうことがあります。そのため、冬場の管理には特に注意が必要です。
- 置き場所: 必ず室内の暖かい場所に取り込みます。窓際は夜間に冷え込むことがあるため、部屋の中央寄りに置くと安心です。
- 水やり: 冬は生育が緩やかになるため、水の吸収量も減ります。土の表面が乾いてから2~3日経ってから水を与えるなど、頻度を控えめにし、乾燥気味に管理するのがコツです。
- 肥料: 前述の通り、冬の間は肥料を与える必要はありません。
これらの点に気をつけることで、アンスリウムは冬を乗り越え、春にまた元気に成長を始めます。

緑の品種もある?アンスリウム白緑の花言葉
アンスリウムが赤くならない原因を探っている中で、「そもそも育てている品種が赤い花ではない」という可能性も考えられます。
アンスリウムには数多くの園芸品種が存在し、赤だけでなく白、ピンク、紫、そして緑色の花(苞)を持つ品種も人気があります。
緑色や白緑の品種
代表的な緑色の品種には、「ピスタチオ」「ミドリ」「エンジェル」などがあります。これらの品種は、開花時から爽やかな緑色をしており、赤色に変化することはありません。また、白地に緑のグラデーションが入るようなバイカラーの品種も存在します。もし、購入時から花が緑色だった場合は、品種本来の色である可能性が高いです。
緑のアンスリウムの花言葉
花の色によって花言葉が異なることがありますが、緑色のアンスリウムには「無垢な心」や「飾らない美しさ」といった花言葉があります。その落ち着いた色合いと清らかな花言葉から、観葉植物としてインテリアグリーンに用いるのも素敵です。
もし品種名が分からない場合は、購入した園芸店に問い合わせてみるか、インターネットで花の画像を検索して調べてみると良いでしょう。

まとめ:アンスリウムが赤くならない悩み解決
- アンスリウムが赤くならない主な原因は日照不足や肥料バランス
- 赤から緑への変色は花の老化による自然現象の場合が多い
- 花の色が薄い・悪いのは光が足りていないサイン
- 強い直射日光は葉焼けを起こし茶色くなる原因になる
- 茶色い変色は水不足だけでなく根腐れの可能性も疑う
- 白やピンクの品種も赤と同様に生育環境が発色に影響する
- 対策の基本は置き場所の見直しから
- レースのカーテン越しの明るい日陰が最適な置き場所
- 根詰まりは生育不良の原因になるため2年に1度は植え替える
- 肥料は春から秋の生育期にリン酸が多めのものを与える
- 窒素過多の肥料は葉ばかり茂るので避ける
- 霧吹きは乾燥を防ぎハダニなどの害虫予防に効果的
- 終わった花は花茎の根元から切り株の体力を温存させる
- 冬は10℃以上の室内で管理し水やりは控えめにする
- 元々緑色や白緑の品種も存在することを念頭に置く
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