おしゃれなインテリアグリーンとして人気のウンベラータ。しかし、その一方で「葉がしわしわになってきた」「元気がないけれど、原因が分からない」といった悩みも少なくありません。もしかすると、その不調はウンベラータの水やりすぎが原因かもしれません。
この記事では、ウンベラータの水やりで失敗や後悔をしないために、室内での基本的な育て方から、適切な水やり頻度と量、そして葉水との関係性について詳しく解説します。夏の水やり頻度や肥料の与え方、剪定、幹を太くする方法といった一歩進んだケアはもちろん、ウンベラータの水耕栽培やハイドロカルチャーでの管理方法、水差しで葉っぱからなかなか根が出ない時の対処法、水耕栽培から土へ植え替える際の注意点まで、あらゆる疑問にお答えします。
正しい水の管理方法を学び、あなたのウンベラータを生き生きと育てていきましょう。
この記事を読むと分かること
- ウンベラータの水やりすぎで起こる葉のサイン
- 土栽培での正しい水やり頻度と量
- 水耕栽培やハイドロカルチャーでの水分管理のコツ
- ウンベラータを健康に育てるための剪定や施肥の方法
ウンベラータの水やりすぎ?サインと正しい育て方
- 葉がしわしわで下向きになる原因は?
- 夏のウンベラータ水やり頻度と適切な量
- ウンベラータの水やりと葉水の正しいやり方
- 室内での育て方と肥料を与えるタイミング
- 剪定で健康に!ウンベラータの幹を太くする

葉がしわしわで下向きになる原因は?
ウンベラータの葉がしわしわになったり、力なく下向きに垂れ下がったりする主な原因は、根がうまく水分を吸収できていないことにあります。これには、大きく分けて「水のやりすぎ」と「水切れ」という、正反対の二つの可能性が考えられます。
水のやりすぎ、つまり過湿状態が続くと、土の中の酸素が不足して根が呼吸できなくなります。これが進行すると根が腐ってしまい、水分や養分を吸収する能力を失います。根が機能していないため、地上部の葉は水分不足に陥り、結果としてしわしわになったり垂れ下がったりするのです。鉢の土が常に湿っている、受け皿に水が溜まったままである、といった状況は根腐れの危険信号と言えます。
一方で、単純な水切れでも同様の症状が現れます。土が乾燥しきってしまい、根が吸収すべき水分が不足している状態です。葉の張りがなくなり、全体的にしなびた印象になります。
これらの見分け方としては、まず土の状態を確認することが大切です。土がジメジメと湿っているのに葉に元気がない場合は水のやりすぎを、土がカラカラに乾いている場合は水切れを疑うのが妥当です。いずれにしても、葉の状態は根の健康状態を映す鏡であり、適切な水分管理がいかに大切かを示しています。

夏のウンベラータ水やり頻度と適切な量
夏の季節はウンベラータの成長期にあたり、気温の上昇とともに水分を多く必要とします。したがって、水やりの頻度は他の季節に比べて高くなります。
基本的な考え方として、土の表面が乾いたことを確認してから水を与えるのが原則です。夏の時期は、鉢の大きさや置かれている環境にもよりますが、おおよそ2日から4日に1回程度の水やりが一つの目安となります。ただし、これはあくまで目安であり、日当たりや風通しの良さによって土の乾き方は大きく変わるため、必ず指で土を触って確認する習慣をつけましょう。
与える水の量については、「鉢底から水が流れ出てくるまでたっぷりと」与えるのが正解です。少量の水をこまめに与える方法は、土の表面しか湿らず、中心部にある根まで水分が届かない原因となります。鉢全体に水を行き渡らせることで、根がまんべんなく水分を吸収できるようになります。
そして、水やり後に受け皿に溜まった水は、必ず捨てるようにしてください。溜まった水をそのままにしておくと、鉢の底が常に水に浸かった状態になり、根腐れを引き起こす最大の原因となります。特に夏場は水の腐敗も早いため、衛生面からも注意が必要です。
季節 | 水やりの頻度(目安) | 注意点 |
春・秋 | 土の表面が乾いたら | 成長期。乾湿のメリハリをつける |
夏 | 土の表面が乾いたら(2~4日に1回) | 最も水分を必要とする。受け皿の水は必ず捨てる |
冬 | 土が完全に乾いてから2~3日後 | 休眠期。水やりを控え、乾燥気味に管理する |

ウンベラータの水やりと葉水の正しいやり方
ウンベラータを健康に育てるためには、「水やり」と「葉水」をそれぞれ正しく理解し、適切に行うことが鍵となります。この二つは目的が異なるため、混同しないようにしましょう。
水やりの基本
前述の通り、水やりは根から水分を吸収させるための作業です。土の表面が乾いたタイミングで、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと与えます。このとき、水の温度にも少し気を配ると良いでしょう。極端に冷たい水や熱い水は根にストレスを与える可能性があるため、常温の水道水を使用するのが一般的です。ジョウロなどを使って、株元に優しく、土全体に水が行き渡るように注ぎます。
葉水の目的と方法
一方、葉水は霧吹きなどを使って葉の表面や裏側に水を吹きかける行為です。主な目的は、葉の周辺の湿度を高めること、葉についたホコリを洗い流して光合成を助けること、そしてハダニなどの害虫を予防することにあります。特に、エアコンなどで空気が乾燥しがちな室内環境では、葉水は非常に有効な手段となります。
葉水は、毎日行っても問題ありません。朝や夕方の涼しい時間帯に、霧吹きで葉の表と裏にまんべんなく吹きかけてあげましょう。葉の裏側は害虫が付きやすい場所なので、念入りに行うと効果的です。ただし、葉に水滴が残ったまま強い直射日光に当たると、レンズ効果で葉が焼けてしまう「葉焼け」の原因になることがあるため、日中の日差しが強い時間帯は避けるのが賢明です。
このように、水やりは根の健康を、葉水は葉の健康を保つためのケアとして、それぞれ適切に行うことがウンベラータを美しく保つ秘訣です。

室内での育て方と肥料を与えるタイミング
ウンベラータを室内で元気に育てるには、置き場所の環境と、成長をサポートする肥料の与え方が大切になります。
最適な置き場所
ウンベラータは日光を好む植物ですが、強い直射日光は葉焼けの原因となることがあります。そのため、室内ではレースのカーテン越しに柔らかな光が入る窓辺など、明るい日陰が最も適した場所です。全く光が当たらない暗い場所に置くと、葉が落ちたり、茎がひょろひょろと間延びしたりする原因になるため注意しましょう。
また、風通しの良さも重要なポイントです。空気がよどむ場所に置いていると、病害虫が発生しやすくなります。ただし、エアコンや扇風機の風が直接当たる場所は、葉の乾燥を招き、株を弱らせてしまうため避ける必要があります。定期的に窓を開けて換気を行い、新鮮な空気に触れさせてあげましょう。
肥料を与える時期と種類
肥料は、ウンベラータの成長期である春から秋(具体的には5月~9月頃)にかけて与えます。気温が下がり成長が緩やかになる冬場は、根が肥料分を吸収しきれず、かえって根を傷める原因(肥料焼け)となるため、施肥はストップしてください。
肥料には、土の上に置く固形タイプの「緩効性化成肥料」と、水で薄めて与える「液体肥料」があります。緩効性肥料は、効果がゆっくりと持続するのが特徴で、2ヶ月に1回程度、製品の指示に従って土の上に置きます。液体肥料は即効性があるため、成長期に勢いをつけたい場合に有効で、10日~2週間に1回程度、水やりの代わりに与えると良いでしょう。
どちらの肥料を使う場合でも、株が弱っている時に与えるのは避けるべきです。まずは水やりや置き場所を見直し、株が元気を取り戻してから施肥を再開するようにしましょう。

剪定で健康に!ウンベラータの幹を太くする
ウンベラータの剪定は、大きくなりすぎた樹形を整えるだけでなく、風通しを良くして病害虫を防いだり、株への刺激となって新しい芽の成長を促したりする重要な作業です。適切に剪定を行うことは、健康な株を維持し、結果的に幹を太くすることにも繋がります。
剪定の適切な時期と方法
剪定に最も適した時期は、成長期である5月~9月頃です。この時期は生命力が旺盛なため、切り口からの回復が早く、新しい芽も出やすいです。逆に、冬の休眠期に剪定を行うと、株に大きなダメージを与えてしまう可能性があるので避けましょう。
剪定する際は、まずどのような樹形にしたいかをイメージします。そして、混み合っている枝や、伸びすぎた枝、枯れた枝などを、切れ味の良い清潔な剪定バサミで切り落とします。切り口からは、ウンベラータ特有の白い樹液が出てきます。この樹液は皮膚に付くとかぶれることがあるため、作業中は手袋を着用すると安心です。樹液はしばらくすると自然に固まりますが、気になる場合はティッシュなどで拭き取っても構いません。
幹を太くするためのコツ
ウンベラータの幹を太くするためには、剪定に加えていくつかのポイントがあります。一つは、十分な日光を当てることです。光合成を活発に行うことで、株全体が充実し、幹も丈夫に育ちます。
また、ある程度育ったウンベラータであれば、意図的に幹をゆっくりと曲げて固定する「曲げ木」という手法も有効です。幹に負荷をかけることで、それに耐えようとして細胞が密になり、結果的に幹が太くなる効果が期待できます。ただし、急激に曲げると折れてしまう危険があるため、麻ひもなどを使って少しずつ、時間をかけて行うことが大切です。
これらの手入れを通じて、見た目にも美しい、どっしりとしたウンベラータに育てていきましょう。
ウンベラータの水やりすぎは水耕栽培でも起きる?
- ウンベラータは水耕栽培できますか?
- 水差しで葉っぱから根が出ない時の対処法
- ハイドロカルチャーや水耕栽培から土への植替

ウンベラータは水耕栽培できますか?
はい、ウンベラータは水耕栽培で育てることが可能です。水耕栽培とは、土を使わずに水と液体肥料で植物を育てる方法で、近年インテリアのスタイルとしても人気を集めています。
ウンベラータを水耕栽培で育てることには、いくつかのメリットがあります。まず、土を使わないため、コバエなどの土から発生する虫の心配がなく、室内を清潔に保つことができます。また、容器が透明であれば根の状態を直接目で見て確認できるため、根腐れの初期症状などを発見しやすいのも利点です。水の量も管理しやすく、「水やりすぎ」による失敗のリスクを土栽培よりも軽減できる場合があります。
一方で、デメリットや注意点も存在します。土と違って水には養分が含まれていないため、定期的に液体肥料を与えて栄養を補給する必要があります。また、水を清潔に保つために、こまめな水替えが欠かせません。水を替えないでいると、水中に雑菌が繁殖し、根腐れの原因となります。
このように、ウンベラータは水耕栽培で楽しむことができますが、土栽培とは異なる管理のポイントがあることを理解しておくことが大切です。

水差しで葉っぱから根が出ない時の対処法
剪定したウンベラータの枝を水に挿して増やす「水差し」は、手軽な繁殖方法の一つです。しかし、挑戦してみたものの、なかなか葉っぱから根が出ないというケースも少なくありません。その場合、いくつかの原因が考えられます。
最も一般的な原因は、時期と温度です。発根にはある程度のエネルギーと温度が必要なため、成長が緩慢になる冬場は成功率が大きく下がります。水差しに最適なのは、剪定と同様に成長期である5月~9月頃です。20℃以上の気温が保てる環境が望ましいでしょう。
次に、水の管理です。容器の水は毎日、あるいは少なくとも2~3日に一度は新しいものに交換し、常に清潔に保つことが大切です。水が汚れていると、切り口から雑菌が侵入し、発根する前に腐ってしまう原因になります。
また、枝の選び方や切り口の状態も影響します。元気で健康な枝を選び、カッターナイフなどの鋭利な刃物で切り口を斜めにスパッと切ることで、水の吸収面が広がり発根しやすくなります。
これらの基本的な管理を見直しても根が出ない場合は、市販の「発根促進剤」を使用するのも有効な手段です。切り口に少量塗布してから水に挿すことで、発根を促す効果が期待できます。焦らず、適切な環境を整えてあげることが成功への近道です。

ハイドロカルチャーや水耕栽培から土への植替
ハイドロカルチャーや水耕栽培で育てていたウンベラータを、土を使った栽培に切り替えることも可能です。ただし、水中環境で育った根(水根)と、土中環境で育つ根は性質が異なるため、植え替えには少し注意が必要です。
水中で育った根は、常に水に触れている環境に適応しており、乾燥に弱く、土の中の環境にすぐには馴染めません。そのため、植え替えは根へのダメージが少ない成長期(5月~9月)に行うのが最も安全です。
植え替えの手順
- まず、水耕栽培で使っていた容器からウンベラータを優しく取り出します。このとき、デリケートな根を傷つけないように細心の注意を払ってください。
- 次に、植え付ける鉢と土を用意します。鉢は現在の根鉢よりも一回り大きいサイズを選び、水はけを良くするために鉢底石を敷きます。土は、観葉植物用の水はけの良い培養土が適しています。
- 鉢に土を少し入れ、ウンベラータを中央に置きます。根の周りにゆっくりと土を入れ、隙間ができないように割り箸などで優しく突きながら土を詰めていきます。
- 植え付けが終わったら、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと水を与えます。
植え替え後の管理
植え替え直後のウンベラータは、環境の変化で大きなストレスを受けています。そのため、植え替え後2週間ほどは、直射日光の当たらない明るい日陰で、風が当たらないように静かに管理します。この期間は、土を乾燥させないように注意し、表面が乾き始めたら水を与えるようにしてください。新しい環境に根が順応し、新芽が動き出すなどの成長の兆しが見られたら、徐々に通常の管理へと移行していきます。

まとめ:ウンベラータの水やりすぎを防ぐには
- 葉がしわしわで下向きなのは水の過不足のサイン
- 土が湿っているのに元気がない場合は水やりすぎを疑う
- 水やりの基本は土の表面が乾いてから行う
- 夏は成長期で水分要求量が増えるため水やり頻度は高まる
- 水を与える際は鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと
- 受け皿に溜まった水は根腐れの原因になるため必ず捨てる
- 冬は休眠期に入るため水やりを控え乾燥気味に管理する
- 葉水は湿度維持と害虫予防に効果的で毎日行っても良い
- 室内ではレースカーテン越しの明るい日陰が最適な置き場所
- エアコンの風が直接当たる場所は避ける
- 肥料は成長期の5月から9月に与え冬は控える
- 剪定は樹形を整え株を健康に保つために行う
- ウンベラータは水耕栽培やハイドロカルチャーでも育てられる
- 水耕栽培は清潔だが定期的な水替えと施肥が必要
- 水差しで根が出ない時は時期や水の清潔さを見直す