観葉植物として人気のベンジャミン。お気に入りの株を増やしたいと考えたとき、「ベンジャミンは挿し木や水挿しで増やせるのだろうか」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。剪定で出た枝を利用して、手軽に株を増やせるのは大きな魅力です。
この記事では、ベンジャミンの挿し木や水挿しの基本的な方法から、発根のコツ、そして失敗しないための注意点まで、初心者の方にも分かりやすく解説します。
また、くるくるとカールした葉が特徴的なベンジャミンバロックの水挿しや、挿し木を水耕栽培、いわゆるハイドロカルチャーで育てる方法、さらには複数の挿し木を組み合わせておしゃれな三つ編みに仕立てる楽しみ方にも触れていきます。正しい知識を身につけて、大切なベンジャミンを増やす一歩を踏み出しましょう。
この記事を読むと分かること
- ベンジャミンの挿し木と水挿しの具体的な手順
- 発根を成功させるための環境管理と日数の目安
- 挿し木でよくある失敗の原因とその対策
- バロック種や、水耕栽培・三つ編みといった応用的な楽しみ方
ベンジャミン挿し木・水挿しの基本と成功のコツ
- ベンジャミンの挿し木・水挿しで増やす方法
- 挿し木を水に浸ける時間の目安は?
- ベンジャミン水挿しでの発根と日数の目安
- 発根までの日当たりと挿し木後の水やり
- ベンジャミンの挿し木で失敗しないためのコツ

ベンジャミンの挿し木・水挿しで増やす方法
ベンジャミンは、剪定した枝を利用して比較的簡単に増やすことが可能です。その主な方法が「挿し木」と「水挿し」であり、どちらも植物の生命力を活かした増やし方です。
理由として、ベンジャミンは生育が旺盛で、適切な条件下では枝から新しい根を出す力が強いためです。特に、成長期である春から秋にかけては、植物全体の活動が活発になるため、発根の成功率も高まります。
具体的な方法として、まずは元気な枝を選ぶことから始めます。病害虫がなく、葉の色つやが良い、適度な硬さのある枝を10cmから15cmほどの長さで切り取りましょう。このとき、切り口は斜めにカットすると、吸水面積が広がり発根しやすくなります。その後、下の方の葉を数枚取り除き、上部の葉も大きい場合は半分ほどにカットして蒸散を防ぎます。
切り口から出る白い樹液は、かぶれの原因になることがあるため手袋をして作業し、水で洗い流してください。この樹液が固まると発根を妨げるため、1〜2時間ほど水につけておくのが一般的です。
ここまでの工程が「挿し穂」の準備です。この挿し穂を土に挿すのが「挿し木」、水を入れた容器に挿すのが「水挿し」となります。どちらの方法でも気軽に挑戦できるので、ご自身の管理しやすい方法を選んでみてください。
挿し木を水に浸ける時間の目安は?
挿し木や水挿しを行う際、挿し穂をどのくらいの期間水に浸けておけばよいのかは、多くの方が疑問に思う点です。これは、大きく分けて2つの段階で考える必要があります。
一つ目は、挿し穂の準備段階です。前述の通り、ベンジャミンの枝を切ると白い樹液が出てきます。この樹液が切り口で固まるのを防ぎ、発根を促すために、準備した挿し穂を1〜2時間ほど水に浸けます。これは樹液を洗い流すための「アク抜き」のような工程と考えると分かりやすいかもしれません。
二つ目の段階は、水挿しで発根を待つ期間です。水挿しの場合、根が出るまで継続して水に浸け続けることになります。この期間は季節や環境によって変動しますが、一般的には数週間から1ヶ月以上かかることが多いです。この間、水を清潔に保つことが非常に大切で、2〜3日に一度は必ず水を交換するようにしましょう。水の交換を怠ると、水中の雑菌が繁殖し、切り口が腐る原因となってしまいます。
したがって、「挿し木を水に浸ける時間」という問いに対しては、準備段階での1〜2時間と、水挿しで発根を待つ数週間から数ヶ月という2つの答えがあると言えます。

ベンジャミン水挿しでの発根と日数の目安
ベンジャミンの水挿しを始めて、最も待ち遠しいのが発根の瞬間です。発根までの日数は、行う時期や管理環境によって大きく左右されます。
一般的に、ベンジャミンの生育期である5月から9月頃の暖かい時期に行うと、植物の活動が活発なため発根しやすくなります。この時期であれば、早ければ2〜3週間、通常は1ヶ月から2ヶ月程度で発根が確認できることが多いです。一方で、気温が低い時期は生育が緩慢になるため、発根までにさらに長い時間がかかるか、あるいは発根しない場合もあります。
発根のサインは、切り口の近くや側面から、白く細い根が伸びてくることで確認できます。最初は数本ですが、徐々に数が増え、長さも伸びてきます。根が数cm程度までしっかりと伸びたら、土やハイドロカルチャーへ植え替えるタイミングです。
もし、1ヶ月以上経っても全く変化が見られない場合は、いくつか原因が考えられます。水の交換が不十分で切り口が傷んでしまった、挿し穂自体の元気がなかった、あるいは気温が低すぎるといった要因です。切り口が黒ずんでいたり、ぬめりがあったりする場合は、残念ながら腐ってしまっている可能性が高いでしょう。その際は、新しい挿し穂で再挑戦することをおすすめします。
発根までの日当たりと挿し木後の水やり
発根を成功させ、その後の生育を順調に進めるためには、光の管理と植え替え後の水やりが鍵となります。
まず、発根を待つ間の日当たりについてです。根が出ていない状態の挿し穂は、まだ水分を十分に吸い上げる力がありません。そのため、直射日光が当たる場所に置くと、葉からの蒸散が激しくなり、水分不足でしおれてしまう原因になります。これを避けるため、レースのカーテン越しのような、明るい日陰で管理するのが最適です。強い光は避けつつも、光合成ができる程度の明るさを保つことで、発根に必要なエネルギーを作ることができます。
次に、無事に発根して土に植え替えた後の水やりです。植え替え直後の株は、新しい環境に慣れるまでデリケートな状態です。特に根は、水の中から土の中へと環境が大きく変わるため、順応する時間が必要になります。
植え替え直後の管理
植え替え直後は、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと水を与えます。その後は、土の表面が乾いたら再度たっぷりと水を与えるというサイクルを基本にしてください。根がまだ十分に張っていないため、過湿は根腐れの原因になりますが、水切れも禁物です。新しい芽が動き出すまでは、特に注意深く土の状態を観察しましょう。
その後の水やり
株が安定し、新しい葉が展開し始めたら、通常のベンジャミンの水やり方法に切り替えていきます。生育期の春から秋は土の表面が乾いたらたっぷりと、冬は生育が緩やかになるため、土が乾いてから2〜3日待ってから与えるなど、乾燥気味に管理するのが一般的です。

ベンジャミンの挿し木で失敗しないためのコツ
ベンジャミンの挿し木は比較的簡単ですが、いくつかのポイントを押さえないと失敗してしまうこともあります。ここでは、よくある失敗例とその原因、そして対策を解説します。
失敗例1:挿し穂が腐る・カビが生える
水挿しや土挿しで、切り口が黒ずんでブヨブヨになったり、白いカビが生えたりすることがあります。
主な原因は、雑菌の繁殖です。使用するハサミや容器が汚れていたり、水挿しの水を長期間交換しなかったりすると、雑菌が繁殖しやすくなります。
対策としては、作業に使う道具は清潔なものを使用し、水挿しの水はこまめに交換することが大切です。また、挿し穂の葉を取り除く際に、葉の付け根を少し残して切ると、そこから腐敗が進むことがあるため、きれいに取り除くようにしましょう。
失敗例2:発根する前に枯れてしまう
挿し穂が発根せずに、葉が黄色くなったり、しおれて枯れてしまったりするケースです。
原因として、挿し穂の水分管理の失敗が考えられます。直射日光に当てすぎて葉からの蒸散が激しくなったり、逆に水切れを起こしてしまったりすると、根がない挿し穂は耐えられません。また、挿し穂自体の元気がなかったり、挿し木を行う時期が不適切(真冬など)だったりすることも原因となります。
失敗例3:いつまで経っても発根しない
数ヶ月経っても全く根が出る気配がない場合です。
これは、気温が低い、光が不足しているといった環境要因や、挿し穂として使った枝が古すぎたり、細すぎたりして発根する力が弱いことが考えられます。
対策として、挿し木は必ず生育期である春から秋に行い、適度な太さと元気のある枝を選ぶようにしてください。
これらの失敗原因と対策をまとめた表を以下に示します。
失敗例 | 主な原因 | 対策 |
挿し穂が腐る・カビが生える | 雑菌の繁殖、水の汚れ | 清潔な道具を使う、水はこまめに交換する |
発根前に枯れてしまう | 水分管理の失敗(蒸散、水切れ) | 明るい日陰で管理する、土や水の乾燥に注意する |
いつまで経っても発根しない | 時期が不適切、挿し穂の活力不足 | 生育期(5月~9月)に行う、元気で新しい枝を選ぶ |
以上の点を踏まえると、ベンジャミンの挿し木を成功させる確率を大きく高めることができるはずです。
ベンジャミン挿し木・水挿しの応用と様々な楽しみ方
- ベンジャミンバロックは挿し木や水挿しで増やせる?
- 挿し木からの水耕栽培とハイドロカルチャー
- 挿し木で作る三つ編みとベンジャミンのねじり方
- まとめ:ベンジャミン挿し木・水挿しに挑戦してみよう

ベンジャミンバロックは挿し木や水挿しで増やせる?
くるくるとカールした個性的な葉が魅力のベンジャミンバロック。この品種も、通常のベンジャミンと同様に挿し木や水挿しで増やすことが可能です。
その理由は、ベンジャミンバロックもフィカス・ベンジャミナの一種であり、基本的な性質や生命力は他のベンジャミンと変わらないためです。剪定で出た枝を再利用して、新しい株を育てることができます。
具体的な手順も、基本的にはこれまで解説してきた方法と同じです。
- 元気な枝を10cm〜15cmにカットする
- 下の葉を取り除き、上の葉は半分にカットする
- 切り口から出る樹液を洗い流し、1〜2時間水につける
- 挿し木用土に挿すか、水を入れた容器で管理する
ただし、ベンジャミンバロックならではの注意点も少しあります。葉がカールしているため、通常のベンジャミンに比べて葉の密度が高くなりがちです。そのため、挿し穂の葉を整理する際には、風通しを意識して少し多めに葉を取り除くと、過剰な蒸散や病害虫の発生を防ぎやすくなります。
このように、基本的な手順を守れば、ベンジャミンバロックも問題なく挿し木や水挿しで増やせます。特徴的な葉を持つ株が増えていく様子は、育てる楽しみを一層深めてくれるでしょう。

挿し木からの水耕栽培とハイドロカルチャー
水挿しで発根させたベンジャミンは、そのまま土を使わない水耕栽培(ハイドロカルチャー)で育て続けることができます。これは、室内を清潔に保ちたい方や、土の管理が苦手な方にとって魅力的な栽培方法です。
水耕栽培の最大のメリットは、土を使わないことによる衛生面と管理の手軽さです。土由来の病害虫の心配がなく、水の量も透明な容器を使えば一目で分かるため、水やりの失敗が少なくなります。
水挿しからハイドロカルチャーへ移行する手順は非常にシンプルです。
- 水挿しで根が5cm程度まで十分に伸びるのを待つ
- 根を傷つけないように優しく洗い、容器の準備をする
- 容器の底に根腐れ防止剤を敷く
- ハイドロボールなどの植え込み材で株を固定する
- 容器の1/5程度の高さまで水を入れる
注意点として、常に根が水に浸かっている状態は根腐れの原因になります。水は容器の底に溜まる程度にし、水が完全になくなってから1〜2日経ってから次の水やりをするのがコツです。また、水だけでは栄養が不足するため、定期的に水耕栽培用の液体肥料を与える必要があります。
このように、挿し木から始めたベンジャミンを水耕栽培やハイドロカルチャーで育てることは、インテリアグリーンとしての楽しみ方を広げてくれます。ベンジャミンバロックもこの方法で育てることができ、土を使わないクリーンな環境でおしゃれなグリーンを楽しむことが可能です。

挿し木で作る三つ編みとベンジャミンのねじり方
お店でよく見かける、幹が三つ編みやねじり状になったおしゃれなベンジャミン。実は、挿し木で増やした若い苗を使うことで、ご家庭でも作ることが可能です。
この仕立て方ができる理由は、ベンジャミンの若い幹がしなやかで曲げやすい性質を持っているためです。幹が木質化して硬くなる前に形を作ることで、そのまま成長し、ユニークな樹形になります。
三つ編みの作り方
三つ編みを作るには、同じくらいの太さと長さに育った挿し木の苗が3本必要です。
- 3本の苗を一つの鉢に寄せて植える
- 根元を麻ひもなどで軽く束ねて固定する
- 3本の幹を、髪の毛を編む要領で優しく編み込んでいく
- 編み終わりの部分もひもで固定する
ポイントは、きつく編みすぎないことです。幹が成長して太くなるためのスペースを少し残しておく必要があります。また、作業は幹が柔らかい生育期に行うのが適しています。
ねじり方の作り方
ねじり(スパイラル)仕立ては、2本の苗を使って作ります。
- 2本の苗を一つの鉢に寄せて植える
- 2本の幹を、互いに巻きつけるように優しくねじっていく
- 形が崩れないように、数カ所をひもで軽く固定する
どちらの仕立ても、最初はひもで固定する必要がありますが、幹が成長して形が安定すれば、ひもは取り外しても問題ありません。挿し木から育てることで、世界に一つだけのオリジナルな樹形のベンジャミンを作ることができます。これは、植物を育てる大きな楽しみの一つと言えるでしょう。

まとめ:ベンジャミン挿し木・水挿しに挑戦してみよう
- ベンジャミンの挿し木・水挿しは初心者でも挑戦しやすい
- 最適な時期は生育期の5月から9月頃
- 挿し穂は元気な枝を10cmから15cmの長さで用意する
- 切り口は斜めにカットすると吸水面積が広がる
- 切り口から出る白い樹液は洗い流す
- 樹液を流すため1〜2時間ほど水につける
- 水挿しでは2〜3日に一度の頻度で水を交換する
- 発根までの日数は暖かい時期で約1ヶ月が目安
- 発根までは直射日光を避けた明るい日陰で管理する
- 土への植え替え後は根付くまで水切れに注意する
- 失敗の主な原因は雑菌の繁殖と水分管理
- カールした葉のベンジャミンバロックも同様の方法で増やせる
- 水挿しで発根させた後はハイドロカルチャーでの栽培も可能
- 複数の挿し木苗を使い三つ編みやねじり仕立ても楽しめる
- 挿し木は観葉植物を育てる楽しみを広げてくれる方法である
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