観葉植物として人気のモンステラが大きく育ち、鉢が窮屈そうになっていませんか。モンステラの植え替えで根を切るという作業に、少し不安を感じている方もいるかもしれません。しかし、根詰まりを放置すると、成長が妨げられる原因になります。
この記事では、モンステラの植え替えで失敗や後悔をしないための具体的な知識を解説します。根詰まりのサインから、根を切る際の注意点、適切な土の選び方、そして悩みがちな気根の処理方法まで、詳しく見ていきましょう。
また、植え替えのタイミングで行える剪定や、株分けの時期と方法にも触れます。さらに、モンステラの増やし方として手軽な水差しや挿し木のやり方、株分けした後の水栽培のコツまで、あなたが知りたい情報を網羅しました。この記事を読めば、安心してモンステラの植え替えに挑戦できるようになります。
この記事を読むと分かること
- モンステラの根を切るべきサインと正しい手順
- 植え替えに失敗しないための土選びや気根の処理方法
- 剪定や株分けでモンステラを仕立て直すコツ
- 挿し木や水差しでモンステラを増やす具体的な方法
モンステラの植え替えで根を切る判断基準と手順
- モンステラが根腐れを起こしたサインは?
- モンステラの根詰まりで根を切るべきか判断
- モンステラ植え替えの土選びと気根の扱い方
- モンステラを植え替えた後の水やり方法は?
- モンステラの植え替え失敗からの復活テク

モンステラが根腐れを起こしたサインは?
モンステラが根腐れを起こしている場合、いくつかの分かりやすいサインが現れます。これらのサインを見逃さないことが、モンステラを健康に保つための第一歩となります。
最も判断しやすいサインの一つが、土からの異臭です。土から酸っぱいような、あるいは腐敗したような不快な臭いがする場合、土の中で根が腐っている可能性が考えられます。また、土の表面に白や緑のカビが生えているのも、過湿状態が続いており根腐れのリスクが高まっている証拠です。
葉の状態にも変化が現れます。根が正常に水分や養分を吸収できないため、葉全体がハリを失い、黄色や茶色に変色してきます。特に、新しい葉ではなく古い葉から変色が始まることが多いです。成長期にもかかわらず新しい葉が出てこない、あるいは出てきても非常に小さいといった成長の停滞も、根に問題があることを示唆しています。
他にも、水やりをしても土への吸収が極端に悪い、株元を軽く揺らすとぐらつく、といった症状が見られることがあります。これらのサインが一つでも当てはまる場合は、一度鉢から株を取り出して根の状態を確認し、早急に対処することが大切です。

モンステラの根詰まりで根を切るべきか判断
モンステラの根詰まりは、植え替えと根を切る作業が必要かどうかを判断する重要なサインです。根詰まりが起きると、植物の成長に様々な悪影響が及びます。
まず、最も分かりやすいサインは、鉢の底穴から根がはみ出している状態です。これは、鉢の中に根が伸びるスペースがなくなったことを示しています。同様に、土の表面に根が浮き出てくるのも、根詰まりの典型的な症状です。
水やりをした際の水の浸透具合も、判断材料になります。水を与えてもなかなか土に染み込まず、鉢の表面を水が流れてしまう場合、鉢の中が根でいっぱいになっていると考えられます。根が密集しすぎると、水や養分の通り道がなくなり、結果として生育不良を引き起こすのです。
実際に株を鉢からそっと抜いてみることで、最終的な判断ができます。根が鉢の形に沿ってびっしりと回り、固まっている状態を「根鉢」と呼びます。この根鉢ができていたら、間違いなく根詰まりを起こしています。このような状態では、古い根や傷んだ根を取り除き、新しい土で植え替える必要があります。その際、固まった根鉢を優しくほぐし、黒ずんで傷んだ根や、長すぎる根を清潔なハサミで切り取る作業が不可欠です。

モンステラ植え替えの土選びと気根の扱い方
モンステラの植え替えを成功させるには、適切な土選びと気根の正しい扱い方が鍵となります。これらを適切に行うことで、植え替え後の生育が格段にスムーズになります。
水はけの良さを最優先した土選び
モンステラは本来、湿度の高いジャングルに自生していますが、根が常に水に浸かっている状態は好みません。このため、土選びで最も重視すべき点は「水はけの良さ」です。水はけが悪いと土の中が過湿になり、根腐れの直接的な原因となります。
市販されている観葉植物用の培養土を使うのが最も手軽です。もし、より水はけを良くしたい場合は、観葉植物用の土にパーライトや赤玉土(小粒)を1~2割ほど混ぜ込むと良いでしょう。自分で土を配合する場合は、「赤玉土:腐葉土:軽石(またはパーライト)」を「6:3:1」程度の割合で混ぜ合わせるのが一つの目安です。
気根はできるだけ残して土に誘導する
モンステラの特徴でもある、茎の節から伸びる太い根を「気根」と呼びます。気根には、空気中の水分を取り込んだり、株全体を支えたりする大切な役割があります。したがって、基本的には切らずに残しておくのが望ましいです。
植え替えの際に、伸びた気根は土の中に誘導してあげましょう。土に触れた気根は、地中の根と同じように水分や養分を吸収するようになります。これにより、株はさらに安定し、元気に育ちます。
ただし、見た目がどうしても気になる場合や、置き場所の都合で邪魔になってしまう場合は、やむを得ず切ることも可能です。その際は、必ず清潔なハサミやカッターを使い、茎の付け根から切り取ってください。一度に多くの気根を切り取ると株に負担がかかるため、最小限に留めることが大切です。

モンステラを植え替えた後の水やり方法は?
植え替え後のモンステラは、人間で言えば手術後のようなデリケートな状態です。この時期の水やりは、その後の成長を左右する非常に大切なケアとなります。
まず、植え替えが完了したら、一度だけたっぷりと水を与えます。鉢の底から水が勢いよく流れ出てくるまで与え続けてください。これには、土の中の細かい隙間をなくし、根と新しい土をしっかりと密着させる目的があります。また、土に含まれる微塵を洗い流す効果も期待できます。
その後の水やりは、これまでよりも慎重に行う必要があります。植え替えによって根が多少なりともダメージを受けているため、水分を吸収する力が弱まっています。この状態で以前と同じ頻度で水やりをすると、過湿になりやすく、根腐れを引き起こすリスクが高まります。
次の水やりは、土の表面が完全に乾いたのを確認してから行いましょう。指で土を触ってみて、湿り気を感じない状態が目安です。植え替え後、約1~2週間はこのサイクルを続けます。環境にもよりますが、普段より水やりの間隔が長くなるはずです。
また、根からの吸水が減る分、葉からの水分蒸散を補うために「葉水」が有効です。霧吹きで葉の表裏に水を吹きかけることで、乾燥を防ぎ、ハダニなどの病害虫予防にもつながります。葉水は毎日行っても問題ありません。

モンステラの植え替え失敗からの復活テク
丁寧に作業したつもりでも、モンステラの植え替え後に元気がなくなってしまうことがあります。しかし、モンステラは生命力が強い植物なので、原因を突き止めて正しく対処すれば、復活させることが可能です。
最も多い失敗の原因は、根腐れです。植え替え後に葉が黄色くなったり、株元がぐらついたりした場合は、根腐れの可能性があります。このときは、勇気を出して再度鉢から株を取り出しましょう。黒くブヨブヨになった腐った根を全て清潔なハサミで切り落とし、健康な白い根だけを残します。その後、新しい水はけの良い土で植え直し、しばらくは日陰で養生させてください。
植え替え直後に葉がしおれてぐったりするのは、根が受けたダメージによる水分の吸収不良が考えられます。この場合は、直射日光を避け、レースのカーテン越しの明るい日陰に移動させましょう。水やりは控えめにし、土の乾き具合をよく観察します。同時に、葉からの水分蒸発を抑えるために、こまめに葉水を与えてください。
環境の急激な変化も、モンステラにとってストレスになります。植え替え後は、肥料を与えるのを1ヶ月ほど控え、まずは新しい環境に慣れさせることを優先します。植物用の活力剤を規定量に薄めて与えるのも、回復を助ける一つの方法です。焦らず、植物が持つ回復力を信じて、丁寧な管理を続けることが復活への近道となります。
モンステラの植え替えで根を切る以外の選択肢
- 大きくなりすぎたモンステラは剪定で整える
- モンステラの植え替えと株分けに適した時期
- モンステラを2つに分けたい時の株分け方法
- モンステラの増やし方は水差しが簡単で確実
- モンステラの挿し木のやり方と株分け後の水栽培

大きくなりすぎたモンステラは剪定で整える
モンステラが大きくなりすぎて置き場所に困ったり、形が乱れてきたりした場合は、剪定が有効な解決策となります。剪定は単に小さくするだけでなく、風通しを良くして病害虫を防いだり、株の健康を促進したりする効果も期待できます。
剪定の適切な時期と方法
剪定に最も適した時期は、モンステラの成長期である5月~9月です。この時期は生命力が旺盛で、剪定によるダメージからの回復が早く、すぐに新しい芽を吹いてきます。
剪定する際は、まず全体のバランスを見ながら、どの茎や葉を切り取るか決めます。古くなって黄変した葉、密集しすぎて風通しを悪くしている葉、伸びすぎて樹形を乱している茎などが対象です。
切る場所は、葉が出ている付け根の少し上、または茎の「節」と呼ばれる少し膨らんだ部分のすぐ上が基本です。節には新しい芽を出す力(成長点)が備わっているため、ここを残すことで次の成長を促せます。剪定には、よく切れる清潔なハサミや剪定バサミを使用してください。切り口から出る白い樹液は、肌に触れるとかぶれることがあるため、手袋をして作業すると安心です。
剪定のメリットと切った茎の活用
剪定の最大のメリットは、大きさをコントロールし、美しい樹形を保てることです。また、不要な部分を取り除くことで、株全体に栄養が行き渡りやすくなり、より健康的な成長が期待できます。
そして、剪定で切り取った茎は、捨てずに「挿し木」として活用できるという大きな利点があります。節と気根が付いた茎を選べば、そこから新しい株を育てることが可能です。このように、剪定は株のメンテナンスと同時に、モンステラを増やす絶好の機会にもなります。

モンステラの植え替えと株分けに適した時期
モンステラの植え替えや株分けを成功させるためには、適切な時期に行うことが何よりも大切です。植物の生態リズムに合わせた作業は、株への負担を最小限に抑え、その後の順調な成長につながります。
これらの作業に最も適しているのは、モンステラの成長期にあたる5月から9月の暖かい時期です。この期間は植物の生命活動が最も活発で、植え替えや株分けで受けたダメージからの回復力が非常に高いためです。特に、気温が安定してくる5月中旬から7月頃がベストシーズンと考えられます。
逆に、絶対に避けるべきなのは、気温が下がる11月から3月頃の冬季です。この時期、モンステラは休眠期に入り、成長がほとんど止まります。休眠期に根を傷つけるような作業を行うと、回復に非常に時間がかかるか、最悪の場合そのまま枯れてしまうリスクがあります。
真夏の猛暑日も、実は避けた方が無難です。強い日差しや高温は植物にとっても大きなストレスとなり、弱っている状態での植え替えは株をさらに消耗させてしまう可能性があります。もし夏に行う場合は、比較的涼しい朝夕の時間帯を選び、作業後は直射日光の当たらない涼しい場所で管理するようにしましょう。

モンステラを2つに分けたい時の株分け方法
モンステラが大きくなり、一つの鉢では収まらなくなった場合、株分けをすることでコンパクトに仕立て直したり、株を増やしたりできます。正しい手順で行えば、初心者でも挑戦できます。
株分けの手順
- 株を鉢から取り出す: まずは、モンステラを慎重に鉢から引き抜きます。鉢の縁を軽く叩くと、抜けやすくなります。
- 土を落とし、根をほぐす: 根鉢の周りの古い土を手で優しく落とします。このとき、絡み合った根を丁寧にほぐしていきましょう。
- 分割する: 根をほぐしていくと、複数の茎がまとまっている部分が見つかります。多くの場合、手で優しく引っ張るだけで自然に分けることができます。もし手で分けられないほど固く絡み合っている場合は、清潔なナイフやハサミを使って、根を切り分けます。このとき、それぞれの株に葉と根がバランス良く付くように分割するのがポイントです。
- 植え付け: 分けた株を、それぞれ適切な大きさの新しい鉢に植え付けます。使う土は、前述の通り水はけの良いものを用意してください。
- 植え付け後の管理: 植え付け後は、たっぷりと水を与え、直射日光の当たらない明るい日陰で1~2週間ほど管理します。新しい芽が動き出したら、徐々に通常の管理に移行していきましょう。
株分けは株に負担をかける作業なので、必ず成長期に行い、作業後は植物が回復するまで丁寧に見守ることが成功の鍵となります。

モンステラの増やし方は水差しが簡単で確実
モンステラを増やしたいと考えたとき、最も手軽で失敗が少ない方法が「水差し」です。土を使わずに始められ、発根の様子を目で見て確認できるため、初心者の方にもおすすめです。
水差しの具体的な手順
- 茎を用意する: 剪定などで出た茎を使います。このとき、必ず「節」と、できれば「気根」が付いている部分を選んでください。節は茎の少し膨らんだ部分で、ここから新しい根や芽が出てきます。長さは10~15cm程度が扱いやすいです。
- 葉を整理する: 茎に付いている葉は、1~2枚だけ残して、下のほうの葉は切り落とします。葉が多すぎると、水分が蒸散しすぎて茎が弱ってしまうためです。
- 水に浸ける: ガラス瓶やコップなど、透明な容器に水を入れ、茎の切り口を浸します。容器が透明だと、水の汚れ具合や発根の様子が分かりやすくて便利です。
- 管理する: 直射日光が当たらない、明るい場所に置きます。水は毎日取り替えるのが理想です。清潔な状態を保つことで、切り口が腐るのを防ぎます。
通常、数週間から1ヶ月ほどで、節や気根のあたりから白い新しい根が伸びてきます。根が5~10cmほどに成長したら、土に植え替えるタイミングです。

モンステラの挿し木のやり方と株分け後の水栽培
モンステラを増やす方法として、水差し以外に「挿し木」があります。また、株分けした小さな株を「水栽培」で楽しむこともできます。それぞれの方法とコツを紹介します。
挿し木の基本的なやり方
挿し木は、水差しで発根させた茎を土に植える方法と、茎を直接土に挿す方法の2通りがあります。確実性を高めたい初心者の方には、水差しで十分に発根させてから土に植える方法がおすすめです。
水差しからの挿し木
水差しで根が5~10cm程度に伸びたら、水はけの良い土を入れた鉢に植え付けます。根はデリケートなので、折らないように優しく扱いましょう。植え付け後は、株がぐらつかないように土を軽く押さえ、たっぷりと水を与えます。新しい芽が出るまでは、日陰で管理してください。
土への直接挿し木
節と気根が付いた茎を用意し、切り口を数時間乾かします。その後、湿らせた挿し木用の土や赤玉土に、節が埋まるように挿します。土が乾かないように管理し、明るい日陰に置くと、1~2ヶ月で発根・発芽します。
株分け後の水栽培について
株分けでできた小さな株は、土に植えずに水だけで育てる「水栽培(ハイドロカルチャー)」にすることも可能です。
根についた土をきれいに洗い流し、根の3分の1から半分程度が浸かるように、水を入れた容器に入れます。根が全て水に浸かると呼吸ができなくなるため、水量は必ず調整してください。
水は定期的に取り替えて清潔に保ちます。また、水中には栄養がないため、月に1~2回程度、水栽培用の液体肥料を規定量与えると元気に育ちます。土で育てるよりも成長は緩やかになりますが、土を使わないため衛生的で、インテリアとしても楽しめます。

まとめ:モンステラの植え替えで根を切る際の全知識
- モンステラの植え替えは成長期の5月~9月に行う
- 根詰まりのサインは鉢底からの根のはみ出しや水の浸透不良
- 根腐れは土の異臭や葉の変色で判断する
- 植え替え時には傷んだ黒い根や長すぎる根を切る
- 清潔なハサミを使い、切りすぎないよう注意する
- 土は観葉植物用など水はけの良いものを選ぶ
- 気根は株を支える役割があり、基本的には切らず土に誘導する
- 植え替え直後は鉢底から水が出るまでたっぷり水やりする
- その後の水やりは土の表面が完全に乾いてから
- 植え替え失敗時は原因を特定し、再植え替えや養生で復活可能
- 大きくなりすぎた場合は剪定で樹形を整える
- 剪定や株分けも植え替えと同じく成長期が適期
- 株分けは根をほぐし、葉と根が均等になるよう分ける
- 増やし方で簡単なのは節と気根のある茎を使う水差し
- 水差しや挿し木、株分けでモンステラを増やす楽しみもある
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